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ガイド業25年目のご挨拶 黒部全域ドローン撮影試写会DVD出来

30歳でガイドを専業として始めて、この4月で24年が経ちます。様々なことがありましたが、これまで行ってこれたこと、参加してくださった方々に感謝致します。例年なら桜に新緑、渡り鳥の囀りなど、心躍る季節のはずですが、今年はコロナで世界中が混乱、皆さまも多分に影響を受け、不安に過ごされてるのではないでしょうか。また先行き考えても、1年くらいで収束、終息する話ではなく、ある程度の年月共存しなければならないと思われます。陽の光を浴びること、体を動かすことが精神的コンディションを保つのに大切なことだと痛感させられます。もし、許される環境、状況ならば、都会の雑踏から離れ、心の潤いを取り戻しに、一緒に山へ行きませんか。2020年3月30日 志水哲也

3月20~22日3連休と28~29日、4月4~5日、約1ヶ月間ガイド中止にしました。4月中旬以降のガイドプランは下記します。詳細案内はできているので興味ある方は連絡ください。4月5月の空いた平日、アルペンルート室堂周辺に限り、立山三山や奥大日岳などに、通常より格安にて個人ガイドもしますので気軽にご連絡ください。先の話ですが7月23~26日4連休で黒部奥ノ廊下&赤木沢、8月はお盆前後の4日間で黒部上ノ廊下、9月19~22日4連休で黒部北又谷本谷を計画してます。

春プラン一覧 + 平日の立山黒部アルペンルートプラン

2月に行った黒部全域ドローン撮影試写会の時の動画をDVDにしました。通常のDVDレコーダーでも、パソコンでも見ることが出来ます。試写会を記念して作った絵葉書集とセットで送料込2500円でお分けしますのでご連絡ください。

YouTube 黒部全域ドローン空撮・ダイジェスト動画

YouTube ダイジェスト動画(1/26リニューアル版)

DVD黒部川全域ドローン空撮の内容  ~歩いたり、岩を攀じ登っても、ヘリコプターでも見ることができない風景を求め、無事戻ることを祈りつつ、ドローンを飛び立たせる。僕が鳥になる瞬間~  今回の、富山と東京でドローンをテーマにした試写会は、荒削りながら、昨年1年間で、今まで見てきた黒部川全域をどこまでドローン撮影できるか挑戦した”結果発表会”で、位置や、山や滝、森や湿原などの区分けは無視して、単純に時系列に撮影した順にお見せしている動画である。このようにドローンだけに絞った動画発表は、講演会など依頼されれば別だが、一般にはもうお見せする予定はない。ドローンは幾度となく墜落や不時着をさせてしまったが、一度、墜落するときの 映像があればウケルのに、と言われたことがある。そんなのあり得ないと返答した。操縦不能になった時は、撮影を止めて、帰ることだけに集中した。僕はモノに執着しない方だと思うが、ドローンに関しては別で、急峻な岩稜や、広大な山へ、僕の手から飛び立つ時、無意識に無事に帰ってきてくれよと切に願っている自分が在った。今後は動画制作では、写真同様に芸術性を求め、構想としては、地上からの動画5割、ドローン4割、タイムラプス1割で、黒部と剱岳、2本の動画を、年内にまとめたく思っている。今回の試写会では時間制限もあり、動画の移り変わりが慌ただしいが、もっとのびのびと、考える間をもって風景を見られる。今風の言葉を使えば「癒やし」のある動画にしたいと思っている。ともあれ、今回の動画編集をボランティアで引き受けてくれた和田靖雄さんは、人気山岳サイト「創楽」で富山の山の魅力を発信している人だ。僕に1年ほど前にドローン撮影を勧め、ドローン撮影を行うきっかけとなった人でもある。和田さんの感性で好きなように編集してみてと依頼した。自分以外の感性で編集した作品を見て勉強したかった。今回の編集に関しては、撮影が終わったのが11月末で、2ヶ月後に試写会の予定があったので大変だったかと思う。いちばんよかったのは音楽の選曲で、その他、音がないドローン映像で、滝の実音などをわざわざ録りにいってくれた。感謝したい。2020年2月7日 志水哲也

01黒部川河口 2019年2月にドローンを導入。3月に最初に撮ったのは黒部川河口だった。河口の沖200mで高度150mまでスライドアップ。NHKBSで5月に放映されたニッポン印象派黒部川のエンディングカットになった動画を、翌週再挑戦した動画。

02雪の黒部下ノ廊下 黒部川河口の次に撮ろう思ったのが剱沢大滝だった。GWに標高1000m前後の黒部下ノ廊下にまとまった積雪があるのはとても希。偶然にそんな状態になり、側壁からの雪崩が怖かったので目的の剱沢大滝へ行くのは断念。代わりに新越ノ滝付近でドローン空撮を行った。

03剱沢大滝I滝 GW、剱沢大滝に一人で再挑戦。大滝下のV字谷の狭い空は衛星電波を拾わず、ドローンを飛ばすのは困難だった。何度も不時着(ほとんど墜落)を繰り返して、ようやく落ち口の少し上の高度までドローンを上げて撮影した。

※04赤木沢(抜け/後半の末に収録) 梅雨の最中、薄日曇天で赤木沢出合と赤木沢大滝をドローン撮影した。晴天のきらめく渓谷美は撮れなかったが、それは次回再挑戦しよう。水量は例年の1,5倍ほどあって迫力があった。かつて、赤木沢出合の渓谷風景を俯瞰したくて、50mロープを両岸にフイックスしてチロリアンブリッジの綱渡りで自分がぶら下がって撮影したのを思い出す。そんなことをしなくても俯瞰撮影できる時代になったと感慨深く思う。

05立山三山 立山三山をドローン撮影。初めての山をテーマにドローン撮影した。池や滝に比べて対象が大きくてつかみ所がなく、テーマを絞っていないと、いろいろ飛行しなければならず苦労した。山を空撮するならヘリの方が上だろう。ドローンで空撮するならあまり欲張った全体像の撮影を狙ってはダメだと痛感。

06内蔵助谷カールと御前谷カール 立山三山のドローン撮影では、黒部川側の内蔵助谷カールと御前谷カール(サルマタのカール)を特に撮影したかった。この2つのカールは共に氷河とされる。大汝山から距離にして500m御前谷側のカールの真っ只中にバッテリー切れで墜落させてしまい。その回収に半日を要し、運動靴だけ、ピッケルアイゼンザイルがない状態で、ビーコンのようなアプリで墜落方向がわかったので、大汝山からダイレクトにその方角、御前谷カールに下りたが危険であった。クライミング初心者がそうであるように、ドローン初心者がやることは危険だと痛感。反省しなければ。二度とこんなことはやるまい。カールの真っ只中に落ちていたドローンはなぜか無傷で、そこから雄山に這い上がった。こちらはアイゼンが無くても、さして難しくはなかった。

07高天原 今夏は長梅雨で、梅雨明けも安定した「夏山十日」といわれる天候にはならなかったが、黒部源流域の山々へ、一人で9日間ドローン撮影行をした。折立から入山して高天原へ。登山道からだとシラビソの丘の影となって薬師岳は小さいが、ドローンを上がると薬師岳はどっしり大きかった。ワタスゲが終わりかけ、キスゲ咲く高天原。高さ150mから俯瞰する高天原湿原。※実は高天原へ行く前に、赤木沢出合のドローン撮影に再挑戦した。しかし太陽が当たらず、思うような撮影はできなかった。この時、操縦中に苔で滑り、操縦機をかばって胸から転び、肋にたぶんヒビを負ってしまう。ドローン操縦中は足下が完全でない時は、動いては行けないと痛感した。

※08水晶池(抜け/後半の末に収録) 高天原山荘に2泊して中一日で水晶池と龍晶池を撮影。雲ノ平から水晶岳の下に俯瞰できる水晶池は、2000年7月に撮影したときは水を張った池だったが、ほとんど水を張っていなかった。近年は涸れていることが多いという。雪解けの時期でないと水を張った池を見ることができないようだ。

09竜晶池 竜晶池は水晶池と違って水を満々と張っていた。この池は水中から出た草が美しく、シラビソの針葉樹林や薬師岳が水面に浮かぶ。今回の撮影行のメインである薬師見平に行く前に、湿原や池のドローンでの捉え方をマスターしたかったので、これで少し自信を持てた。2019,8

10薬師見平 少し捉え所がない湿原だ。天候がいい日に行くはずだったが夏型が安定してなく、薬師見平にビバークした夕方は15分くらいしか薬師岳の稜線が見えず、朝は霧でダメという悪条件下での撮影だった。秋にも再訪する予定だし、ワタスゲが最高の状態で、ドローンもそれなりに撮れたので満足だ。足下のモウセンゴケの数は凄まじく、小バエのようなハエが無数にいた。高天原からここまで、行きが6時間、帰りが7時間。ザックは15キロほどだろうか。高天原でお風呂に入り、小屋で飲んだ白ワイン(リラという甘い安ワイン)が凄まじく美味しかった。

11雲ノ平  薬師見平から戻ったその日は、雲ノ平山荘まで移動。夕立に遭いずぶ濡れになって超満員の山荘に入る。4回戦の客食を出し、片付けが終わり、オーナーの伊藤二朗くん夫妻や従業員と一緒に夕飯をいただくのは8時半頃だった。9時過ぎには静かにして下さい寝られないと苦情が入り寝床につく。翌朝、雲ノ平を空撮。あまりバリエーションが考えつかず、木道沿いに俯瞰移動して、水晶、鷲羽などの山を入れた。花はコバイケイソウが当たり年のようだった。

12水晶岳 雲ノ平山荘に泊まった翌朝は三俣山荘に移動。伊藤正一さんの長男圭くん夫妻が温かく迎えてくれた。そして次の日は水晶小屋へ。昼に頂上からドローンを飛ばし、小屋に泊まった翌朝日の出頃に再度飛ばした。黒部源流の山々の中で今回いちばん思ったような空撮ができたのが水晶岳だった。通常の山岳写真同様に、ドローン撮影も朝夕がいい。その時間帯はヘリが飛ばせない時間帯でもあり。ドローンの空撮がいきる時間帯だ。

13鷲羽岳 水晶岳と鷲羽岳はじっくり撮りたかったので、三俣山荘、水晶小屋、三俣山荘と3泊させていただいた。鷲羽岳は昼と日の出頃、2回ドローン空撮した。比較的単純な三角錐のような山だが、意外と捉え所がなく、特色を出すのに苦労した。鷲羽池があり、反対側には黒部源流が落ちている。また祖父岳付近から黒部源流を空撮したが、地上から撮るのと大差ないものしか撮れなかった。祖父岳自体を前景に入れればよかったのかもしれない。

14三俣蓮華岳 三俣蓮華岳より上空では霧が立ちこめ、頂上からあまり上げて撮影できなかった。ここから見た鷲羽岳が好きだ。三俣蓮華岳と黒部五郎岳と北ノ俣岳の三山は、じっくりとは撮影していない。三俣山荘から折立への通りすがりに1回ずつドローンを飛ばして撮影。

15黒部五郎岳 黒部五郎岳を特徴付けてるのはそのカールだろう。無数のコバイケイソウがカールのそこここに咲いていた。ヘリコプターをこの山の周囲を旋回させて撮影したことがあるが、今回はドローンで黒部五郎岳側からカールを見下ろしたり、カールの方へ遠退いて真下に俯瞰した。

16北ノ俣岳 花の百名山に選ばれる北ノ俣岳。太郎方面に10分ほど下がった場所にあるハクサンイチゲは、この山域最大の群落だ。このドローン撮影の後、30分程からひどい雷雨となった。64GのSDカードとドローンの内部ストレージが満杯になってしまったので、もう撮影できない。薬師岳の撮影は後日行いたい。

17仙人池 逆さ剱が水面に浮かび、紅葉時期には多くのカメラマンが三脚を立てる仙人池。夏はそれほど多くなく長期滞在のカメラマンが何人かいた。仙人池を上から俯瞰、水面を低空飛行した。

18平の池 新緑の平の池。池や湿原が点在する平の池は、仙人池よりスケールが大きい感じがする。剱岳の天辺が画面に入らず、少し高くドローンを上げなくてはならなかった。

19池の平山 池の平山は剱岳北方稜線上の双耳峰の岩峰だ。その2つを前景に、背景に剱岳を入れた。池の平山南峰から。池の平山の黒部側が岩壁になっていたことを忘れていた。それを撮影するべきだったかもしれない。

20内蔵助平    ハシゴ谷乗越の展望台から見た内蔵助平の新緑紅葉はこの山域随一だ。空撮だと逆に内蔵助平と剱岳を見ることができるのをヘリコプターの空撮で知っていたのでドローンでそれを試みたがダメrだった。ドローンなりに近距離で動画で上下にパンしてそれを表現してみた。

21上ノ廊下  最初に遡行したのは32年前、もう20年以上ほとんど毎年遡行している上ノ廊下。年間20パーティ50~100人ほどがそこに入る。台風が近づいているので余裕がないかったが、水量は少なく、難なく遡行できた。思うままに6箇所でドローンを飛ばした。反省点を活かし、再度飛ばしたい。

22北又谷 ケルン滝を見た後、北又谷を下降した。又右衛門滝、大釜淵、魚止ノ滝でドローンを飛ばした。ケルン滝の飛沫で濡れておかしくなったのか、GPS電波を拾わないのがいけなかったのか?ドローンが暴走して止まらず焦った。又右衛門滝で草付きの壁に墜落。その後、長瀞でもドローンを飛ばしたが、また暴走してとうとう水没。ドローン撮影はしばらくお休み。精神的にも疲れたのでお休みしたい。SDカードからデータは取り出せたのはせめてもの救い。今回はドローンだけでなくスマートホンも湿気でダメにした。

23ケルン滝 岩苔小谷大滝が無くなった今、黒部で最も迫力がある滝は剱沢大滝I滝と、このケルン滝ではないだろうか。北又谷恵振谷ゴルジュの真っ只中にかかるこの滝を訪れるのは5度目。滝下から三脚を立てて動画撮影をしたが、そこは飛沫がひどかったので、ドローンは少し上がった場所から飛ばした。狭い峡谷の小さな空だったので、GPSを拾わず飛ばないかと思っていたが、飛んだのは不思議なくらいだ。

24 剱岳(早月尾根、別山尾根、北方稜線) 8月末に北又谷でドローンを水没させてしまい、修理から直ってきた(新品交換)ので、まずは勝手の知った剱岳を撮影した。月明かりでドローン撮影できないか試したが光量的に弱くダメだった。ヘリコプターに出来て、ドローンに出来ないこととしてスケールが大きな地形をダイナミックに飛行できないなど多々あるが、山岳写真でいちばんドラマチックになる日の出日没時間帯に気軽に空撮できるのはいい。ヘリコプターは航空制限がありお金を出しても、なかなかその時間帯に飛ばせない。

25馬場島大王杉 9月後半の連休は全国的に悪天で、2009年に出したグラフィックブック立山杉を振り返り、立山杉巡りをした。なかでも馬場島の大王杉はいちばんの巨木だ。ドローンで樹の天辺まで上がったり、上空から俯瞰したりした。知られざる映像だった。

26剱岳八ツ峰 剱岳を形作る岩稜の中で最も特徴があるのは八ツ峰だろう。八ツ峰のドローン撮影は剱岳に登るたびに、いろいろシミュレーションをしてきたが、難しく思っていた。ドローンを導入してから半年で4回も墜落させているが、ここで墜落したら地形的に回収不能だろう。長次郎谷の熊の岩で夕と朝1回ずつ飛ばし、長次郎の頭北方から朝に1回飛ばした。同じ事を雪の季節にも行いたい。

※27剱岳北方稜線(24剱岳に統合) 前回、剱岳本峰から北方稜線をドローン撮影したが、三ノ窓から小窓の王やチンネ、長次郎の頭北方から剱岳本峰までドローン撮影した。池の平山からの北方稜線と、これと、前回剱岳からの北方稜線を結合させたら北方稜線を表現できる映像になるのでは? さらに僧ヶ岳上空からの北方稜線、遙か彼方に剱岳の映像も1つ加えるとおもしろそうだ。

28薬師岳と金作谷カール 薬師岳は黒部源流の囲む山々の中で大きくどっしりと構え存在感がある。特徴造ってるのは3つのカールで、立山よりは小さいが、黒部五郎などより大きい。カールに朝日が射す時に撮影したかったが、夕方となってしまった。しかしながら、朝日が当たるのは遅い時間帯のため、赤く染まった山を撮るなら夕方の方がいいだろう。先週八ツ峰を飛んでから、山を飛ぶのは慣れた感じがする。

29サンナビキ大滝 サンナビキ谷左俣にかかるこの大滝は黒部最高落差でありながらほとんど知られていない滝である。1992年にサンナビキ谷左俣を遡行した時に、この滝を見た先人がいたか否かは記録や資料を見たことがないので定かではないが、この滝を見た時の驚きは忘れられない。6年程前にも紅葉絶頂時期にこの滝に訪れ撮影している。これが3度目だ。黒部川全域ドローン撮影で最も行くことが困難な場所であった。ベースまで戻れるギリギリの時間に着いたため15分程度しか時間がなく丁寧に撮れなかったのは残念だが、こんな場所だから撮れただけでもよかった。

30剱岳小窓尾根と剱尾根 今回の撮影山行は先週、西仙人谷からアプローチしようとして撤退したコースの雪辱戦。こんどは正攻法で池ノ谷乗越から尾根沿いにアプローチした。小窓尾根は冬に1度、残雪期に2度登ったことがある。無雪期でも薄ら踏跡くらいあると思っていたがほとんどないヤブこぎで乗越からニードルまで片道5時間要した。当初、ドームでビバークしてドローンを飛ばす予定でいたが、シンボリックなニードルを入れた方がいいような気がしてドーム手前のニードルの肩でビバークして各所で撮影した。3回、数秒だったがドローンと送信機が途絶え焦った。これで剱岳は一段落、撮影テーマを本題の黒部下ノ廊下に移す。まずは棒小屋沢ゴルジュ。

31棒小屋沢ゴルジュ 黒部全流域で最も深い谷はどこだろうか?剱沢大滝ともいえるが十字峡で剱岳ぼ対岸から合わさる棒小屋沢のゴルジュは黒部有数の大きさと凄みである。僕は1997年に棒小屋沢を遡行しているが、あの時のゴルジュの情景が忘れられなかった。それがゴルジュ帯のこの場所の風景。遡行していき、悪い高巻きをして50m一杯の懸垂下降して申し合わせたように一発でそこにたどり着けたとき、あの時の風景にまた出会え、思わず涙したくらいだった。棒小屋沢くらい険しい谷になると雪崩によって谷底から50mは灌木が一つの無い地形が続く。谷底に懸垂下降するには灌木が生えるようなリッジを探し下りたはずだと思いそれを探してたどり着けた。32年前と谷を見る目は変わっていなかった。しかし、こんな洞窟のような場所でドローンが飛ぶとは思わなかった。5分かけて12mの高度まで上がった。それ以上は無理だった。

32黒部下ノ廊下①(十字峡、S字峡) 黒部下ノ廊下のドローン撮影の手始めに、十字峡とS字峡を撮影した。十字峡は思ったような撮影ができた。S字峡はドローンがGPSを拾わず3mの高さまでしか上がらず、高さはそれはよかったが、谷底まで60m下げて水流伝いにドローンを飛ばしたかったが、高さ3mしか上がらない状態でマイナス60m下げて、再び上がって戻ってくるのか自信が持てずできなかった。マビックAirやproでは手動モード切替がなく、手動モードでの撮影を自在に扱えないとダメだと限界を感じた。S字峡撮影でこれ以上望むならファントムを借りて撮影するしかないのかなと思う。2019,10,20

33黒部下ノ廊下②(大ヘツリと白竜峡) 黒部湖の紅葉は終盤、下ノ廊下が絶頂となった。1週間以上遅い感じだ。まず丸山東壁をドローンで撮りたく内蔵助谷出合で上げるが2mしか上がらず断念。大ヘツリで日電歩道から上げるがここでも2mしか上がらなかったが上流へ向かって移動撮影。そして白竜峡にビバーク用意して夕方、白竜峡の谷底へ懸垂下降してドローンを上げるが、ここでも2mしか上がらない、手動モードに切り替わり、川を遡上移動で撮影し、戻そうとするが暴走、ステック操作で止まらない。北又谷で2回墜落させた時と全く同じだ。ととっさに回収できそうな川の上の岩壁に追突させる。ドローンは流されて、胸まで浸かって探すが、水中めがねがなくては見えない。そのうちに全身に震えがきたので、限界と判断。機体回収を断念。ドローン1号が8月に北又谷で水没全損の後、2号も10月に水没行方不明となった。行方不明では機体保険も下りないので、翌朝の始発のアルペンルートで下山して、すぐに次の機体を購入。その翌日午前中には3号が送られてくるので、午後はセットアップと試験飛行。翌々日には再び下ノ廊下へ行く予定。動画は4kではなく1kであるがスマホに飛行中転送されてきているもの。ドローン2号が命を賭けて撮影した白竜峡。

34黒部下ノ廊下③(雲切ノ滝、新越ノ滝など) さすがに11月になり今秋最後の黒部下ノ廊下撮影行。新越ノ滝付近でビバークして星空のタイムラプス撮影。翌朝、雲切ノ滝でドローンを飛ばす。十字峡とここだけはGPSを拾い、ドローンを心配なく飛ばすことができた。来年、動画作品として発表することを考えて、いろいろ細々と動画撮影しながら黒部ダムに帰る。この2週間に3回も下ノ廊下に来ていながら、ベストコンデション(天候)も外しているし、この程度の動画しか撮れなかったことが悔しい。今年の下ノ廊下の紅葉ベストは例年より10日程度も遅くて10月27日から11月2日の1週間かと思う。よくわかっていることだが晴天では下ノ廊下の紅葉撮影は絶対ダメなのに、紅葉絶頂期のいい天候コンデションを逃した。それにいちばん悔しいのはS字峡で水面ギリギリをドローンが飛行できなかったこと。これは手動モードで扱えるドローンを手にしたら一番したいこと。

35奥鐘山 奥鐘山西壁は黒部川からおよそ高度差1000m屹立した、黒部の浸食の凄さを示す岩壁だ。灌木帯の岩壁を含めるならエレキャピタンと同規模を有す、国内最大の岩壁だ。紅葉絶頂期に水平歩道からドローンを上げて撮影した。まず欅平から尾根上が終わるあたりで、次に奥鐘山を正面壁に見るあたりで撮影。後者はカメラを上に上げた時にぎりぎり山頂が入るあたりまで岩壁に近づいた。

36西鐘釣山、東鐘釣山 西鐘釣山の山頂で西鐘釣山の黒部川側の夫婦岩と言われる柱状岩壁を前景に入れ、奥に東鐘釣山を撮影。ドローン2号が行方不明になって3号を即購入して撮影しているが、SDカードをまだ用意しておらず内部ハードディスク8GBで撮影していたが、満杯になってしまったので今回は撮影できないと思いきや、その場合、4KではなくFHDであるがスマホに転送されることを知る。

37嘉々堂谷大滝  32年ぶりに昨年、夏と秋に2度再訪した嘉々堂谷大滝。出合から1時間でここまで到達できる。黒部では最も狭く暗いゴルジュを成している。ドローンは飛ばないだろうと思っていたが、なんと20mまでクレーンアップできたのは驚きだ。滝下は飛沫があったので5mまで急いで上昇させた。実は前日弥太蔵谷ゴルジュに行ったが、昨年張ってあった固定ロープがなくなっていてザイル無しだったので引き返した。今回は用心してザイルは持って行ったが、20mの垂直の壁の懸垂下降をしたので、もしザイルがなかったらやばかった。

38僧ヶ岳 剱岳北方稜線の末端、僧ヶ岳上空から遙かなる剱岳を遠望。北駒や駒ヶ岳から剱岳を望めるが、僧ヶ岳からは見えない。今月中に下ノ廊下に雪が降れば撮影に行くが、降らなければこれで「黒部川全域ドローン撮影」はひとまず終了。

39立山三山と奥大日岳 7月に初めて山をテーマに撮影したのが立山三山だった。山の大きさに翻弄されて墜落させてしまったが、100回以上のドローンフライトを行い、かなり馴れた感じがする。剱岳を背景に入れて、三山上空を移動してみた。また、奥大日岳ではその頂上を入れて、東大谷を剱岳目指して飛行させた。その帰路の室堂乗越付近での夕景の撮影ができたのはよかった。

40 新雪の黒部下ノ廊下  今回撮影した「雪の十時峡」は、撮影に行こうとしても雪がさっぱり降らない。今年は例年よりも降雪が遅いようなので、今シーズンは半ば撮影をあきらめていた。しかし、シーズン最終日にそのチャンスがやってきた。前の晩に降雪の可能性があると予想して朝から十字峡に向かう。日電歩道には全く積雪はなかったが凍っている箇所が多く装備と細心の注意が必要だった。ビバークした翌日の明け方、一面の雪景色で10センチほどの積雪。美しい景色に喜ぶが、安全に帰れるかどうか不安になる。これ以上積もると雪崩や落石の危険が出てきて帰れなくなる可能性があった。暗いうちからスイッチを入れてGPSを拾うことを確認。明け方にドローンを飛ばし、カメラでも撮影し、素早く移動。両岸の壁にも雪がついた厳冬のような風景の白竜峡では、3回三脚を出して写真撮影。新越の滝でも撮影し、後は帰路をひとすら急ぐ。チェーンスパイクで歩くのは不可能でダムまでずっとアイゼンで歩いた。足下の新雪に切れた手すりの針金が埋もれていて2度アイゼンを引っかける。否応なく歩きが慎重になる。急ぎ過ぎたのと寒さで足を二度攣った。終わった何もかも。撮影のチャンスを掴む難しさから、今回の十時峡は一番撮ることが困難な撮影だった。

41称名滝(番外編) 黒部川全域というくくりでは外れるが、称名滝は富山県を代表する風景だし、夏に向けて滝や渓谷をドローン撮影する前哨戦として前後するが称名滝を撮影した。一度行ったが虹が出ず、翌週再挑戦して撮った。この滝は既に多くの人にドローン撮影されているので、撮ることよりも、ドローンの高度な操縦テクニックを駆使した撮影などが問われるだろう。日本海側が山に囲まれていないのでGPSを十分拾い、自動モードでも撮影ができる。僕は称名滝はあまり深追いする気はない。

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