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新しいことへの挑戦

2018年6月で黒部に移り住んで21年になった。脱サラしてガイド業を始めて22年にもなった。その間、いろいろあったが、俗に働き盛りといわれる30代、40代を黒部市に住み、活動してきたことを感慨深く思う。
現在、剱岳撮影でやり残した写真集「剱岳百景」を9月に出版する予定。それを機に写真撮影を動画に切り替えるつもりでいる。登山と写真の今まで蓄積したノウハウの上でのスタートだがが、動画作家としては1からのスタートとして志新たに考えている。若い頃から動画撮影をしているプロカメラマンが大勢いるなか、どこまでできるか自信はないが、52歳は新しい分野に挑めるぎりぎりの年齢であり、60歳までと区切ったなら最後の挑戦となる。まずは自分が見てきた風景を最新の動画で記録していき、いつか動画版写真集「黒部」と写真集「剱」を作り、大きなスクリーンで映写してお見せできたらと思う。
近年、写真や映像の世界はドローンや高感度を利用した星空や夜間撮影など、流行、目新しいものを追う風潮にあるが、冠松次郎の写真と今昔写真展開催や、冠松次郎の作品の監修の仕事に係わらせていただき、写真とは何なのか、記録するべきものは何なのか、深く考えさせられた。僕が30歳ならその時代に注目されるような写真を追っていたかもしれないが、今は風潮に左右されない100年後に残るような仕事をしたく思っている。
人間の生きる意味や価値は自分はもちろん、そもそも人に計れるものではないと思う。しかし、僕は若い頃から登山や表現活動で、生きている意味や価値を何となく感じられることを闇雲に追ってきたような気がする。それは意味も価値もわからないまま生き続け、やがて死ぬという、誰もが抱えている必然への、ぼんやりとした不安からだったような気がする。
以上、僕が富山県、黒部に移住した意味の、最後の挑戦になると思う(7/12追記)。

意欲や感動が薄まってなお、同じことをだらだらと続けていくことは、今まで熱く生きてきたこと、感性への冒とく行為ではないか。

評判や噂を気にして物事を自制する時間はもうない。残り少ない人生、悔いがないように生きなくてはならない。多くの隣人の挫折や死を見てきてそう思う。

登山、写真、et cetera。仕事趣味問わず何事も最初の1年でだいたいやる気が決まり、始めて3年でどこまでやれるかが大事で、その人がその分野でどのくらいまでなれるかが、およそ測れると思う。最初の3年は、宇宙を旅するロケットが大気圏を脱するまでのようなもの。その力があれば、無重力に近い宇宙はほぼ余力で進めるように。

 

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